〈第4章〉速聴®があなたの中に眠る脳力を開拓する
1.速聴®は情報氾濫時代のスーパー全脳活性法である
速聴®で記憶力・集中力を開発するポイント
鈴木アナは、その仕事柄、人の話を聴く機会が多かったはずだ。しかも売れっ子なので、その数はかなりにのぼっただろう。鈴木アナがインタビューするような人は、すべて著名人であり、その道の第一人者たちばかりだと思われるから、記憶に残したい、「よい話」もたくさんあるに違いない。
鈴木アナは、忙しさの中でそうした話を記憶するには、「その場で覚える」ことが一番と考えたのではないだろうか?
もしそうだとすれば、鈴木アナは、相手の話にできるだけ注意深く耳を傾けたはずである。この鈴木アナの姿勢が、聴覚を鋭くすることにつながったのは、改めていうまでもない。
そして、聴覚を磨けば、その汎化作用によって、記憶力を司る脳の部位が発達向上することは、本書の中で何度か述べたとおりである。
また、鈴木アナはテレビ界に長くいた人だから、職業柄、相手の話を自分の頭の中でイメージ化する作業にもたけているだろう。そのため、右脳と左脳=全脳がバランスよく働き、「覚える」「思い出す」という一連の記憶の作業もスムーズに行われることになる。
以上のように、鈴木アナは、無意識のうちに、聴覚のトレーニングを積んでいたといえるだろう。
ということは、あなたが意識的に聴覚、あるいはそれにも増してエキサイティングな「速聴」を行うようにするなら、鈴木アナ以上の記憶力の持ち主に、間違いなくなれるということである。
もう一点、鈴木アナのケースで、見逃せない脳力がある。もうあなたはおわかりかもしれないが、それは “集中力” である。
鈴木アナのように、職業柄、相手の話に注意深く耳を傾けるということは、すなわち「集中力を発揮して相手の話を聴く」ことにほかならない。つまり、「これを覚えたい」と職業本能的に聴覚を鋭くすれば、記憶力だけでなく、集中力を司る脳の部位も自然に鋭さを増してくるわけである。まさに、一挙両得といえる。
私は常に、「速聴」を「これからの時代のスーパー全脳活性法」と考え、当社に来られる方にもそう言ってきた。もし、「速聴」が、単に記憶力だけを発達向上させるものであれば、私は何も、“これからの時代の”だとか“スーパー”だとかという言葉を使うつもりなどない。あえてこのような表現をするのは、それなりの裏づけがあるからだ。
これからの時代は、今以上に情報が洪水のようにあふれているだろう。それだけの量の情報を脳が処理記憶するには、右脳のイメージ力のスピードを高めるとともに、左脳の整理・整頓脳力を強化させておくことが不可欠となる。
さらに、短時間で情報を脳に定着させるための集中力も欠くことのできない脳力となるが、「速聴」は、そのすべての脳力を開発し、向上させ、発達を促進してくれるはずである。
私が、「速聴」を「これからの時代のスーパー全脳活性法」というのは、それが今後の時代の流れに、ピッタリとマッチした脳力開発法と考えるからだ。
「速聴」であなたの記憶力・集中力を開発するために見逃せないポイントはこれだ
1・・・“暗記”と“記憶”は違うことを知る。
2・・・“暗記”は苦痛が大きく、覚えたこともすぐに忘れてしまう。
3・・・“記憶”は楽しんでやれて、覚えたことをいつでも思い出すことができる。
4・・・真の記憶力とは、「覚えたことを忘れない脳力」を指す。
5・・・記憶力は、「速聴」による汎化作用で発達向上する。
6・・・右脳からのイメージ情報が左脳で整理・整頓されて記憶は大脳に定着する。
7・・・右脳のイメージ力を抜きにした、左脳だけの記憶は、単なる暗記にすぎない。
8・・・右脳と左脳がバランスよく機能し、全脳が活性化して初めて、「覚える」「思い出す」が完璧にできるようになる。
9・・・「速聴」は、記憶力とともに集中力も増大させる。
10・・・「速聴」は、右脳と左脳の機能も拡大させる。
「覚える」「思い出す」は、右脳と左脳がバランスよく働いてこそうまくいく
人間が外部から受ける情報は、まず右脳に入る。右脳は、別名 “イメージ脳” (右脳にとっては多少荷が重い命名だろうが……)といわれるぐらいだから、聴いたり見たりした情報や、イメージを含めて丸ごと受け取ることになる。そして次に、この情報は左脳へ送られていくのである。
わかりやすいたとえでいえば、右脳では、外部から入ってきた情報とイメージを、昔のハエ取り紙のように、粘着させるテープが回転しているようなものだ。外部情報は、この粘着テープによって、どんどん左脳へ送られていく。
左脳の仕事は、この情報やイメージがくっついたテープに、整理・整頓のためのラベルを貼り、分類して(あるいはひきはがして)、脳の引き出しにしまっておくことである。少々固い言い方をするなら、右脳が受けたイメージ情報を、左脳が論理化して脳に収めておくということだ。
この右脳と左脳との協力によって、あなたの頭の中に、あることが記憶されることになる。つまり、「覚えた」わけである。
では、「思い出す」=「記憶を引き出す」作業は、どういうシステムで行われるのだろうか?
まず、思い出す対象について、右脳がそれをイメージ化する。このイメージには、左脳によってラベルが貼られていて、左脳では、そのラベルに従って、所定の引き出しから対象となる情報を引き出してくるのである。
では、もうこの右脳と左脳のバランスが崩れてしまったとしたら、私たちの記憶はいったいどうなるのだろうか? さらに具体的にいうと、これは「右脳のイメージ力ではなく、左脳の言語力・論理作業のみに頼って覚えようとするとどうなるか」がテーマとなる。
なぜなら、仕事や勉強で論理的思考をもっぱらとする現代人の脳は、左脳の働きが強す ぎ、右脳のイメージ力が低下しているからだ。
記憶力を効果的に高めるための基本のその一を、もう一度思い出してほしい。
「記憶と暗記は違う」
私は、鈴木アナの言葉を借りてこう述べた。そして、右脳と左脳のバランスが崩れた場合——左脳の働きが強すぎた場合、あなたの「覚える」という作業は、 “暗記” になってしまう。
ある対象をイメージ抜きで覚えるということは、言葉や数字を単に “暗記” として脳にしまい込むことを意味している。
歴史の年表を例にとるなら、前述した、キリスト教伝来の年号を、「以後よく伝わるキリスト教」ではなく、「キリスト教は一五四九年に、日本に伝わった」と覚えることにほかならない。これでは、「無理やりに覚え込む」だけであり、「思い出す」ことは大変難しい作業となる。
あたかも釣り針をつけずに魚を釣ろうとするようなものである。「絶対釣れない」ということはないだろうが、大変難しいことは確かだ。
以上でおわかりのように、左脳の力だけに頼る釣り針をつけない覚え方は、単なる“暗記”である。一方、右脳のイメージ力と左脳の言語・論理作業をバランスよく働かせて覚えるのが“記憶”であり、そして、これによって初めて、人間の脳は、「覚える」こと(釣り針をつけて糸をたれる)と「思い出す」こと(魚を釣り上げる)の二つを、完璧にできるようになるのである。
記憶はすべて右脳と左脳がコントロールしている
記憶が、「生活や人生のためになる」には、まず、それを思い出すことが必要となる。せっかくいったん覚えても、あとで忘れてしまったのでは、生活や人生に役立てることはできない。
もっとも覚えたものが潜在意識にまで落とし込まれた場合、無意識のうちにそれが他の記憶や経験と結びついて、「頭がキレる人間」になり得ることは、「はじめに」に述べたとおりである。
そして、「覚える」「思い出す」という記憶の流れは、すべて脳の働きによってコントロールされているのだ。したがって、大脳が活性化していなければ、こうした脳力も十分に発揮されないことになる。
「速聴」をすると、脳が活性化し、あるレベルに達すると、 “汎化作用” が生じることはすでに述べた。本章では、「速聴」の汎化作用によって開発が期待される八つの潜在脳力(実際は一九種類以上、いや無数にあるが、ページ数の関係でアトランダムに八種を選んだ)についてご紹介するので、ここでもう一度、汎化作用について整理しておきたいと思う。
「速聴」を行っていくと、耳が音声の速さに適応しようとする。そして、聴覚が向上してくる。
耳は、人間の体外にある脳の出先機関であり、聴覚とは脳そのものを意味している。つまり、聴覚が発達向上するということは、とりもなおさず、聴覚を司る脳の部位が発達向上するということにほかならないわけだ。
そして、この聴覚の発達向上という好結果の影響は、脳の他の部位にまで及んでいる。その一例が、たとえば“記憶力”になる。
もちろん、この汎化作用は、記憶力のみにとどまるわけではなく、あらゆる潜在脳力の発達向上につながっていく。
本書では、アトランダムに、「記憶力」「集中力」「創造力」「表現力」「判断力」「理解力」「決断力」「先見力」の八つの潜在脳力(これらをなぜ “脳力” と呼ばずに “潜在脳力” と呼ぶかというと、これら諸力は「今以上に開発され得る余地を十二分に残している」からにほかならない。これは他の脳力に関しても同じことがいえる。本書では、その潜在部分にスポットを当てているわけだ)を取り上げ、「速聴」との結びつきについて述べようとしているわけだ。
この章を読めば、「速聴」を身につけることによって、自分でも気がつかなかった、あなたの潜在脳力が開発され、発達向上していくことがよくわかるだろう。あなたはそこに、自分のあるべき本当の姿を発見することになる。
ではここで、もう一度記憶力に話を戻すことにしよう。
あることを「覚える」「思い出す」ことが、脳によってコントロールされていることはすでに述べたが、この “脳” が、 “右脳” と “左脳” 、つまり「全脳」を意味することは、いうまでもない。
そこで次に、この右脳と左脳の働きが、人間の記憶にとってどれほど重要なものなのか、そのメカニズムを解説しつつ述べていくことにしよう。
記憶とは、“覚えたことを忘れない” 脳力
「記憶は、楽しみながらやれる」
基本の第二はこれである。
もう一度、中学や高校時代のあなたを頭に思い浮かべてほしい。
「以後よく伝わるキリスト教」
「一つくれよか露にゲンコツ」
ここにあげたのは、歴史の年表を覚えるための語呂合わせだ。前者が、キリスト教の日本への伝来(一五四九年)、二番目は、日露戦争が起こった年(一九〇四年)になる。あなたもこうした語呂合わせのお世話になったかもしれない。そして、今でもそのいくつかは覚えているだろう。
理由は、もうおわかりのことと思う。語呂合わせが楽しかったから、記憶に残っているわけである。もし、年表を正確に丸暗記しようとしたら、覚えることがなかなか難しいばかりか、何年かたったのちには、大部分を忘れてしまうはずである。
自分の普段の仕事ぶりを振り返ってみてほしい。あなたは、 “暗記派” だろうか、それとも “記憶派” だろうか。自分がどちらのタイプであるかを見極めるのは、とても簡単である。覚えることに苦痛を感じているか、それとも楽しんでやっているかを考えてみればよいのだ。
もう一つ、覚えたことをすぐに忘れてしまうか、長期間たっても思い出すことができるかでも、あなたが “暗記派” “記憶派” のどちらであるかがわかる。
「暗記は、苦痛が大きく、覚えたこともすぐに忘れてしまう」
「記憶は、楽しんででき、覚えたことをいつでも思い出すことができる」
以上のことでおわかりのように、楽しんで覚える方法さえ身につければ、あなたは鈴木アナ以上の記憶力を備えることができるわけだ。
「その方法がわからないから困っている」
あなたは、こういうかもしれない。しかし、あなたはもうその方法を知っているのだ。もちろん、その方法とは本書のテーマである、「速聴」である。
なぜ「速聴」が、あなたの記憶力を高めてくれるのか? その理由の一部は、英単語集を著されている先生方の文章を引用してすでに述べた。ここでは別のスポットを当てて理由を述べるが、その前にもう一点、記憶の基本について述べておきたいと思う。
「記憶とは、単に覚えるだけでなく、“覚えたことを忘れない”脳力」
つまり、記憶を保つ脳力を高めることが、本当の意味での記憶であると、私は考えている。そして「速聴」は、この脳力をも開発してくれるのだ。
苦痛を伴う“暗記” では、覚えたことはすぐに忘れてしまう
「記憶と暗記とは違う。暗記は一夜漬けで苦しくて効果がない。記憶は楽しみながらやれて生活や人生のためになる」
これは、NHKの鈴木健二元アナウンサーの言葉である。鈴木アナ(鈴木元アナでは読みにくいので、以降、鈴木アナとする)といえば、博覧強記の人であり、また、台本をまったく持たずに番組をみごとに進行させる、素晴らしい記憶力の持ち主でもある。
実際、1980年代の人気番組だった『クイズ面白ゼミナール』を観ていても、あれだけの人名・地名・数字などをいったいどうやって覚えるのかと、ただただ驚くばかりだという人も多いことだったろう。もっともその個性の強さに反発する人々もいる。日本では出る杭はほとんど必ず、何らかの形で打たれるのだ。
私は常に出る杭のスタンスで生きてきたので、日本という国は本当によく人の足を引っ張る国だなと、つくづく思っている。その割に足は短いままだ。割に合わない、とはこのことをいう。
アメリカは、出た杭はそのまま見守るか、助力してくれる体質を持った国である。だがその反面、どの国に対してもいえることだが、長所も短所もある。
そのような社会でうまく生きていくことにも、「速聴」は大きな力を必ず貸してくれるだろう。
しかし、一見すると普通人にはとても不可能と思える鈴木アナの驚異的な記憶力を、あなたも身につけることができるとしたらどうだろうか? 仕事や知識の吸収に、その脳力は大いに威力を発揮してくれるはずだ。
「では、いったい、どうやったら、あれだけの記憶力を自分のものにできるのだろう。きっと、鈴木アナも血のにじむような努力を重ねたに違いない。自分には、それと同じ真似などとてもできそうにない」
おそらく、ほとんどの人は最初からこう考えて、行動を起こす以前にサジを投げてしまうのではないかと思う。だが、それはとんだ思い違いである。あなたの大脳の持つ力は、鈴木アナとまったく同じなのだ。脳力に差がないのであれば、あとはやり方次第ということになる。
もう一度、冒頭に紹介した、鈴木アナの言葉をよく読んでいただきたい。この言葉の中には、記憶力を効果的に高めるための基本的な考え方がすべて含まれている。
まず、基本の第一は、「記憶と暗記とは違う」ということだ。
あなたがビジネスパースンであるなら、中学や高校時代のことを思い出してみてほしい。英語の単語や構文、数学の公式などを繰り返し読んだり紙に書いたりして丸暗記した経験があるはずだ。あなたは、大変な苦労をしただろう。
ところが、そんなにつらい思いをして暗記したにもかかわらず、それから10年、20年たった今では、それが頭の中のどこかに埋もれてしまって、すっかり忘れてしまっている人がほとんどなのではないだろうか?
かくのごとく、暗記とは頼りないものなのだ。いったい、それはなぜなのだろう。
どんなことでもそうなのだが、一般に、苦痛を伴う努力をいくらしてみても、その効果は期待したほど上がらないものである。ビジネスでいうなら、投下した資金に比べて、利潤が少ないのと同じことなのだ。いや、“赤字” になってしまうといってもよいだろう。こんなバカな取引はない。
暗記とは、これほど割に合わない記憶法なのである。一方、記憶はまったく逆になる。



