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〈第2章〉聴覚刺激が脳力を向上させる

1. 脳力を向上させるには速聴®だけで十分

速読を身につけるのは普通の人には無理な注文

「速聴と速読は、どっちが優れているのですか」
私が「速聴」の話をすると、このような問いかけが必ずといってよいほど返ってくる。そうした際、私はまず速読の利点と欠点とをあげることにしている。その理由は次の二つからきている。


一つは、「時間の節約」という利点に関するかぎり、「速聴」と速読には大きな類似点があるからだ。そこで、より耳慣れた速読の利点を先に話したほうが、「速聴」に対する理解もスムーズにいくはずだと考えたわけである。
第二の理由は、速読の欠点をよく知っていただくことで、「速聴」の利点がより明確になるからである。


では、理由を述べたところで、まず速読から解説していくことにしよう。
のちに紹介するように、「速聴」(スーパーリスニング)には私たちが開発したノウハウ、すなわち「SLBS」(SUPER LISTENING PROGRAMS FOR BUSINESS LIFE, STUDY & SUCCESS ACHIEVEMENT)プログラムがこの世にたった一群あるだけである。


一方、速読には、何かの家元のように「○○流」がたくさんある。そうした速読法の中には、一分間に三〇〇ページの本を読むことができる、としているものもある。しかし、これはいくら何でも乱暴な話である。ページを目にも留まらぬ速さでめくるだけでも優に延べ三〇秒以上はかかるからだ。これは簡単な計算で証明できる。
たとえば五分の一秒という高速で紙を一枚めくったとしても、三〇〇ページ一五〇枚の紙をめくるには三〇秒を必要とするのである。そうすると、残りの三〇秒で三〇〇ページを「読む」(速読の場合、正確にはパターン認識)ことになる。つまり、一〇ページを一秒で「読む」ことを意味する。
ということは、このようなレベルに至るには、いくらトレーニングしたとしても、普通の人には無理な注文である。


このように、速読法には眉にツバをつけたくなるものもある。もちろん、実際に効果の上がるものもいくつかあるわけで、「インチキでなければ、ぜひ自分も身につけたい」と考えている人も多いはずだ。
第1章でも述べたように、現在の日本は、列島全体が情報の渦の中にあるといっても過言ではない。したがって、こうした多くの情報を素早く自分の脳に取り入れることができたら、これほど素晴らしいことはないわけである。


たとえば、裁判官などは速読法を最もマスターしたい職業の一つであろう。何しろ彼らは、原告や被告から提出される膨大な量の書類(ちょっとした民事事件でも、それらの書類を積み上げると、二メートルを軽く超すこともしばしばである)に目を通さなければならない。しかも、その事件一件だけにかかわっているわけではないので、限られた時間内で読まなければならない。


速読法を身につけることによって、大脳への情報インプットが一挙に高速化できるとなれば、まさに願ったりかなったり、ということになる。専門的にいえば、訴訟経済にかなっている、というわけだ。
医師も同様だ。世界中から論文やニューズレターがごっそりと送られてくる。これに全部目を通すのは、なまはんかな意思では不可能といってよい。


また、ビジネスパースンや経営者の中にも、山のような数の書籍や書類を何カ月もかけて読んでいる人々がいるが、速読法をマスターしさえすれば、今までの何分の一かの努力で、そうした書籍や書類の内容を頭の中にしまい込むことが可能になる。もし、本当にそうなれば、ビジネスのスピードアップ化(生産性の向上に直結する)も促進されるに違いない。
また、ビジネスパースンや経営者も、より多くの情報を素早く適切に吸収することができるので、情報の洪水におぼれずに済む。
企業のトップをはじめエクゼクティブたちは、自分のまわりに押し寄せてくる経営関連情報の渦の中で四苦八苦しているのが現状だ。


確かに、情報は豊富に手に入るが、では、さしあたりの重要度はどうかというレベルになると、その選別には恐ろしく時間がかかる。もっともファイリング(書類をファイルして整理する技術)の専門家が彼らのそばにいたら、ある程度は情報管理が楽になる。
ところが、速読法を身につけてしまえば、そうした悩みから解放されるだろう。なぜなら、選別に時間をかけるより、速読で情報をすべて頭の中にファイリングしてしまったほうが、はるかに手間いらずだからだ。もちろんこれは、一般の人々(つまり、これまで述べた人々以外)にとっても同様である。