〈第4章〉速聴®があなたの中に眠る脳力を開拓する
1.速聴®は情報氾濫時代のスーパー全脳活性法である
「覚える」「思い出す」は、右脳と左脳がバランスよく働いてこそうまくいく
人間が外部から受ける情報は、まず右脳に入る。右脳は、別名 “イメージ脳” (右脳にとっては多少荷が重い命名だろうが……)といわれるぐらいだから、聴いたり見たりした情報や、イメージを含めて丸ごと受け取ることになる。そして次に、この情報は左脳へ送られていくのである。
わかりやすいたとえでいえば、右脳では、外部から入ってきた情報とイメージを、昔のハエ取り紙のように、粘着させるテープが回転しているようなものだ。外部情報は、この粘着テープによって、どんどん左脳へ送られていく。
左脳の仕事は、この情報やイメージがくっついたテープに、整理・整頓のためのラベルを貼り、分類して(あるいはひきはがして)、脳の引き出しにしまっておくことである。少々固い言い方をするなら、右脳が受けたイメージ情報を、左脳が論理化して脳に収めておくということだ。
この右脳と左脳との協力によって、あなたの頭の中に、あることが記憶されることになる。つまり、「覚えた」わけである。
では、「思い出す」=「記憶を引き出す」作業は、どういうシステムで行われるのだろうか?
まず、思い出す対象について、右脳がそれをイメージ化する。このイメージには、左脳によってラベルが貼られていて、左脳では、そのラベルに従って、所定の引き出しから対象となる情報を引き出してくるのである。
では、もうこの右脳と左脳のバランスが崩れてしまったとしたら、私たちの記憶はいったいどうなるのだろうか? さらに具体的にいうと、これは「右脳のイメージ力ではなく、左脳の言語力・論理作業のみに頼って覚えようとするとどうなるか」がテーマとなる。
なぜなら、仕事や勉強で論理的思考をもっぱらとする現代人の脳は、左脳の働きが強す ぎ、右脳のイメージ力が低下しているからだ。
記憶力を効果的に高めるための基本のその一を、もう一度思い出してほしい。
「記憶と暗記は違う」
私は、鈴木アナの言葉を借りてこう述べた。そして、右脳と左脳のバランスが崩れた場合——左脳の働きが強すぎた場合、あなたの「覚える」という作業は、 “暗記” になってしまう。
ある対象をイメージ抜きで覚えるということは、言葉や数字を単に “暗記” として脳にしまい込むことを意味している。
歴史の年表を例にとるなら、前述した、キリスト教伝来の年号を、「以後よく伝わるキリスト教」ではなく、「キリスト教は一五四九年に、日本に伝わった」と覚えることにほかならない。これでは、「無理やりに覚え込む」だけであり、「思い出す」ことは大変難しい作業となる。
あたかも釣り針をつけずに魚を釣ろうとするようなものである。「絶対釣れない」ということはないだろうが、大変難しいことは確かだ。
以上でおわかりのように、左脳の力だけに頼る釣り針をつけない覚え方は、単なる“暗記”である。一方、右脳のイメージ力と左脳の言語・論理作業をバランスよく働かせて覚えるのが“記憶”であり、そして、これによって初めて、人間の脳は、「覚える」こと(釣り針をつけて糸をたれる)と「思い出す」こと(魚を釣り上げる)の二つを、完璧にできるようになるのである。



